タピオカブームとは何だったのか。

 

十歳を超えたあたりから同世代の流行について行けなくなった。どうでもよくなったというか、端的にいうと疲れてしまったのだ。

この頃、巷ではYouTubeTikTokが大流行していたのに、ずっとニコニコ動画でダークソウルRTAを見てた気がする。平日は人と話す回数よりLボタンでロックマンエグゼと話す回数の方が多かった。

流行について行くために使っていた時間は、気づいたらカウンターでガッツマンを倒す時間に変わっていた。

 

今でこそ気にならなくなったけど、昔は流行について行けなくて一人になってしまうのがたまらなく怖かった。

集団の中でのポジショニングとかに気をとられて、本当に自分がしたいこと、思っていることを二の次にしていたと思う。当時はそれが自分のアイデンティティの一部だった。別にそれ自体を否定するつもりはないんだけどぼんやりと退屈を感じていたのを覚えている。

 

 

 

ころで、最近タピオカミルクティーが日本中で大流行した。いわゆる、インスタ映えというやつを狙って写真を撮ってSNSに投稿するムーブが若年層を中心にウケたらしい。

流行はミルクティーだけにとどまらず、タピオカそのものにスポットライトが当たるようになった。表参道にはタピオカ専門店が乱立し、渋谷には「東京タピオカランド」が爆誕した。

元々私はコンビニで買える『EMIALタピオカミルクティー200g』を愛飲していたので、意図せず流行に乗れているのを感じて少しだけ嬉しかった。ただ、ブームの影響で商品が軒並み品薄になって私の元まで届かなくなってしまったのが残念だったけど、それも「より多くの人がタピオカミルクティーのおいしさに気づけるなら...」と思えた。

 

しかし、しばらくしてタピオカが暴力団の資金源になっていることや、タピオカが高カロリーであることを知ったインスタ映え層が食べずに捨ててしまうなどといったことがメディアに取り上げられると、一転してマイナスイメージが強くなった。

今ではあんなに並んでいたタピオカ専門店に人影は見えない。投稿しなくなったインスタグラムを開いてみたけど、タピオカを載せてるやつは一人もいなかった。

 

 

 


行は誰が何のために生み出し、人はどうして乗っかってしまうのだろう。

仕事帰りに寄ったコンビニの陳列棚に、整然と並べられたタピオカミルクティーを見てふと思った。

 

Lボタンでロックマンエグゼが教えてくれるアドバイスがいつも少しズレてるように、Googleで検索してもきっと的確な答えは返ってこないんだろうなとか思いながらQUICPayで一つだけ購入した。

ペーブメントを歩きながら久しぶりに飲んだタピオカミルクティーは、相変わらず人工甘味料の変な味がして美味しかった。